ドイツの大学が認めるドイツ語の資格試験③ ドイツの大学が自主制作する「DSH」

ドイツ語試験

以前の記事で、ヨーロッパで使用されている言語習得の基準、CEFR(GER)について、そして外国人がドイツの大学へ留学する際に語学資格として認められるドイツ語試験について解説しました。

外国人が出願する時に語学レベルCEFRのC1以上を求めているドイツの大学ですが、そこまで言うだけあってちゃんと可能性は多目に提示してくれています。

ゲーテインスティテュートの試験、TestDaFは海外だけでなく、もちろんドイツでも受験可能です。やはり本場ドイツということで、会場の数も、それに伴う受け入れ人数も段違いに多くなります。

また、ドイツにいればそれらだけでなく、別の形態のドイツ語試験も受験することができます。

今回は、ドイツ国内でのみ受けられるドイツ語試験、「DSH」の解説です。

大学オリジナルの問題

DSH(Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang)はドイツの各大学と、付属の大学入学準備課程(Studienkolleg)がタッグを組んで独自に作成している、ドイツ国内の大学に入学を希望する外国人のためのドイツ語試験です。

大学がそれぞれで作成しているので、読解、聴解、作文、会話という構成以外は、時間配分と問題は各大学オリジナルのものです。DSHを作成していない大学もあるので、そこに応募したい場合は別の語学試験を優先させましょう。

以前紹介したゲーテのテストとTestDaFと決定的に違うのは、DSHにおいて会話テストは、ほかの分野とは別の日に開催されるという点です。先に筆記試験(読解、聴解、作文)を受験して、それに合格すれば会話テストに進めます。

2パターンの受験申込

DSHを受験するには、2パターンあります。

志望大学が決まっている場合

最初に紹介するのは、行きたい大学が決まっている場合です。プロセスは以下の通り。

① 先にドイツ語の資格が不十分な状態、もしくはドイツ語の資格なしの状態でドイツのDSHを作成しているいずれかの大学に応募し、

② 受け入れ通知(Zulassungsbescheid)とその大学が主催しているDSHの受験許可証(Einladung)を受け取り、

③ 受験当日までにC1レベルのドイツ語の授業を受講したという証明書を提示すること。

以上3点が条件になっています。

①が何となく引っ掛かりますよね?これは、ドイツ語以外の資格が満たされていて、学部側があとはドイツ語能力が十分であれば入学を許可できると判断するパターンがあるということです。

僕が日本で大学生をしていた時に、語学留学でゲッティンゲンという街の大学のドイツ語コースに通っていたのですが、そこで実際にゲッティンゲン大学の受け入れ通知を持っていて、あとはDSHを受けるだけという外国人留学生何人かと知り合いました。

志望大学を決めていない場合

次は、特に大学を決めず、DSHを先に受ける場合です。と言っても、行きたい大学がある場合の③さえあれば受験資格を得ることができます。どこかでドイツ語C1のコースを受講して、その証明書と一緒に申し込むだけです。

全部の大学で受けられるわけじゃない!

が!ここで注意。

DSHを作成している大学の中には、外部受験者を受け入れないところが結構あります!

ていうかほとんどです!

つまり、その大学の受け入れ通知を持っている人だけを対象としている大学があるということです。

詳しくは各大学のDSH開催日程をチェックしてください。ここの情報は詳細が分かり次第更新されるのですが、「Externe zugelassen?(=外部受験者を受け入れるか)」の項目で「nein」と書かれていると、外部受験者お断りなんです。(・はその時点で情報が公開されていないということです。)

ケルン大学、ベルリン・フンボルト大学など、メジャーな大学が軒並み「nein」。行きたい大学がある場合の②で書いた受験許可証と一緒に申し込まないと受験不可となってしまいます。

逆に言うと、大学に応募すればするほど受験できるDSHは多くなるということになりますが、自己管理の面から果たしてそんな余裕があるのか…?と僕は個人的に思います。それなら、大学に依存しないドイツ語試験も視野に入れるべきです。

試験日程と開催頻度に関しても、各大学で全然違います。これに関しても、開催日程を監視するぐらいの気持ちで逐一チェックしてもらう必要があります。

なので、特にDSHを受験するだけしてみたいという方は、開催日程のリストをチェックして、「Externe zugelassen?」の項目で「ja」と書かれている大学にC1コース受講証明書をつけて申し込みましょう。

合格基準

DSHも、TestDaF同様オリジナルの評価基準を設けています。それぞれDSH-1、DSH-2、DSH-3(最高評価)、もしくは不合格となっていて、多くの大学でDSH-2以上が求められることになります。

筆記、会話それぞれで成績が出て、最終的な評価がDSH-2、もしくはDSH-3であれば大学への出願がぐっと楽になります。ただし、どちらかでDSH-1を取ると、もう一方がどんなに良くてもDSH-1が総合成績になるので注意してください。

こちらは筆記(schriftlich)、口頭(mündlich)の結果の組み合わせから割り出される総合成績(gesamt)の早見表です。

(DSH総合成績表 出典: DSH)

目指していた成績が取れなかった、という場合のためにも、日程に余裕をもって外部受験者を受け入れているDSHにも申し込むことをお勧めします。

申し込み料金はそれぞれ

申し込み料金は各大学によって違い、ホームページによると70~150€の間で分かれているそうです。(2020年6月現在)

対策方法

DSHはドイツにいるなら対策がきっちりできるでしょう。

大学や語学学校の準備コース

テストを主催している大学にはたいてい準備コースが設けられています。リンク先には現在開講している準備コースのリストがコースレベルとコースごとの料金と一緒に確認できます。

準備コースだけなら、大学だけでなく、プライベートの語学学校でもちらほらやっているみたいですね。コースレベルはそうでもないですが、料金に幅があるので、お財布と相談した方がいいかもしれません。リンク先から直接申し込めるわけではないので、各大学、語学学校にご自身で問い合わせることになります。

自習用教材

自習用の教材も欲しいという方は、ドイツの書店にもすこしなら教材があります。街中よりは、品揃えが学生寄りなので、大学の近くのお店がいいかもしれませんね。それでもなければ、そこで注文して取り寄せてもらうのも手です。

ネットショッピングサイトで探したい方は、ドイツ語版を積極的に使いましょう。amazonで日本語版、英語版を回ってみましたが、DSHという単語の定義が違うので、教材以外の商品もリストアップされます。ドイツ語版なら、DSHと言えばドイツ語試験だと認識されやすいので、いくらか探しやすいです。

一応以下にamazon日本サイトで見つけられたDSH用の教材をリストアップしてみました。詳しくはリンク先をご確認ください。

ただ、日本にいる場合注文してからご自宅に届くまでに時間がかかる点はご注意ください。

過去問をダウンロードできる!

自習用の教材を手に入れるのってめんどくさい、と思いますよね?そんなあなたに朗報です。なんと各大学がDSHの過去問、もしくは模擬試験をDSHのサイトでダウンロードできるように公開しているんです!

大学を絞って対策するならこの試験

どこまで公開しているかは大学にもよりますが、これならDSHの実態をつかみやすいので、片っ端からやってみましょう。

次回はもう一つ、ドイツ国内で受験できるドイツ語試験「telc」についての解説です。

ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます!

別のブログも読んでいただけたらうれしいです。

んでは、また~。

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