以前の記事で、ヨーロッパで使用されている言語習得の基準、CEFR(GER)について、そして外国人がドイツの大学へ留学する際に語学資格として認められるドイツ語試験について解説しました。
今回は、日本でも受けられるドイツ語試験、「TestDaF」についてです。
世界規模のネットワーク
TestDaF(Test Deutsch als Fremdsprache)はゲーテインスティテュートと並んで、世界規模でヨーロッパ言語の普及に取り組むヨーロッパ言語試験機関協会(Association of Language Testers in Europe: ALTE)の一員として認められているTestDaFインスティテュートが主催する、外国人対象のドイツ語テストです。
ゲーテよりもネットワークが広く、ドイツ国内はもちろん、世界中の大学や語学学校でも受験することができます。こちらのフライヤーからも分かるように、TestDaFの運営は、特に学生にアピールしているようで、ゲーテの試験よりも学生向けという印象を持ちやすいかと思います。
2020年10月からはデジタル形式の試験も
TestDaFは、これまで指定の試験会場で読み、書き、リスニングは記述形式、会話は会場の視聴覚室などでの音声吹込みでの受験のみが可能でした。
しかし、2020年10月22日、それだけでなくTOEFLなどの語学試験のようなコンピューターに入力する形式での受験スタイルがリリースされます。こちらのテスト結果も、これまでの記述式と同様の基準で採点され、ドイツの大学に要求される基準を満たした成績ならばそれで出願可能です。
これにより、試験日程と受験可能な場所が日本でも増えることが予想されます。また、コンピューター形式での受験ならば、受験してから結果が出るまでの時間にも変化が現れるとも告知されています。
デジタルのTestDaFと、ペーパーテストの違いに関しては、こちらの記事をご覧ください。
日本なら東京ゲーテ(と埼玉の獨協大学)
日本ではゲーテの東京オフィスでのみ受験可能です。(2022年12月現在) 申し込みはTestDaFのホームページを通してご自身ですることになります。
かつて獨協大学でも受験できましたが、コロナ禍、デジタル形式への移行と移り変わる中で、2022年12月現在、こちらで外部の受験者を受け付けている様子はありません。もしかしたら、後で体制が整って受験できるようになるかも?新情報を見つけたらまたこちらのページなりを更新する形でお伝えします。
試験日程は逐一チェック!
注意して欲しいのは、TestDaFで公開されている日程全てを日本で受験できるわけではないということです。ホームページで日程を確認すると、1年間でデジタル形式7回、ペーパー形式5回が開催されています。ところが、ゲーテの東京オフィスに載っているTestDaFのスケジュールを確認すると、そこまでないんです。
「この日程で、ここで受けたい!」と思っても、会場の都合上できない可能性があるので、事前に自身のスケジュールと照らし合わせて計画を建てましょう。
余談ですが、僕は受けたい日程で日本で開催されていなかったので、一度TestDaFのために台湾の高雄に飛びました。そこまでして受けたのに落ちてしまったときの脱力感は、ある意味何物にも代えがたい気持ちでしたね…orz。
申し込み料金も安くないのに、飛行機やらホテルにもお金を使うことになるとは、当時のしめじには知る由もなかったのだ。
時間配分は会話が多め
TestDaFもゲーテのテストと同様に読解(60分)、聴解(40分)、作文(60分)、会話(35分)の4項目が設けられています。作文と会話の試験の間に、オーディオルームに移動しますが、こちらの会話の試験はヘッドホンから流れる音源を聞いて自分の答えをマイクを通して個別に録音する形なので、受験者全員が一斉に始めることができます。
合格基準
TestDaFは試験結果を独自の基準で設定していますが、CEFRとしっかり紐づけされています。
成績として認められるのは、TDN3、4、5(最高評価)、そういった記載が試験結果にないと成績なし=不合格扱いになります。ドイツの大学に出願するには、基本的には各項目でTDN4以上が求められ、4を取ると、B2以上C1未満の能力が認められます。
むしろ多くのドイツの大学のホームページには出願条件として「CEFR/GERにおけるドイツ語C1以上、もしくはTestDaF各項目でTDN4以上」と記載されているので、TestDaFに関しては安心して受験してください。
あれ、TestDaFはC1に満たない成績でもいいの?と思われた方、半分正解で半分間違いです。結果から見れば、C1に届かなくてもドイツの大学への出願資格は得られます。だからと言って、受験中に「このくらいでいいよね」という基準が自分で分かるような難易度ではありません。やるからにはしっかり対策しましょう。
リアルにあと1ポイント、というところで落ちたことがありました…。
申し込み料金
受験料は国別に3段階に分かれています。ドイツと日本は同じ料金体系にいるようで、どちらで受験してもデジタル形式は210€となっています。(2022年12月現在)
ペーパー形式は日本では受験できないようですが、215€/回です。
パスポートは試験当日まで有効なものを
TestDaFは申し込み時点でパスポートの情報を入力する必要があります。有効期限がテスト当日までカバーされていることを確認しておきましょう。入力した情報は、試験当日持参したパスポートと比較されるので、忘れないように。
対策方法
TestDaFの対策方法は、主催の教室での準備コースがない代わりに、模擬試験の冊子や、オンライン授業などホームページで複数公開されており、ゲーテより準備しやすいかな、と個人的に思います。
冊子、教材
ホームページ上の販売ルートはありませんが、書籍のISBN番号などが載っているので、これらの情報を基に本屋さんで模試5回分と問題集を注文することができます。(上から3番目以降)
もしくは、amazonなどのネットショッピングサイトで検索すると結構候補が出てきます。下のブロックをクリックして、教材の一覧にジャンプしてください
オンライン授業
TestDaFのホームページでも斡旋している、Deutsch-Uni Online(DUO)という語学学習運営サイトがTestDaF用のコースを開設しています。
ダウンロード用の模試データ
TestDaFのホームページで2回分がダウンロード可能になっています。読解、聴解、作文、会話それぞれのセクションごとにダウンロードすることも、全部が一緒になったPDFをダウンロードすることもできます。また、ヒントや回答も用意されているので、先に自分でやってみて、後で復習するにも有効です。
TestDaF用に紹介されている教材の大部分は、Hueber社によるものなので、上記のどれもしっくりこなかった、という方は、Hueber社のサイトを直接覗いてみましょう。
パート別対策記事もどうぞ
僕もいろいろ研究して、対策記事を読解、聴解、作文、会話それぞれのパートに分けて書いてみました。それぞれどんな感じか詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。
デジタルテスト(日本で受験する場合)
ペーパーテスト
マイナー言語の資格を受けるという現実
以上が、日本で受験できるドイツの大学公認のドイツ語試験です。日本で受験できると言っても、地方の方は東京や関西に出向かなければいけないのは変わりませんが…。それでもそんな気軽に、しかも語学試験のために海外に飛ぶ、なんてことができないのが実情だと思うので、受けるならしっかり準備しましょう!
ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます!
別のブログも読んでいただけたらうれしいです。
んでは、また~。
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