2020年10月より、ドイツをはじめ全世界のテストセンターで、徐々にデジタル形式のTestDaFが導入されてきました。
TOEFLなどを受験されたことのある方なら想像しやすいかと思われますが、今までの紙ベースではなく、テストセンターのコンピューターを使って受験するという方法です。
日本でもついに導入
そして2021年11月24日、東京ゲーテインスティテュートにてデジタルTestDaFが受験できるようになりました。
申し込み方法は、これまでのTestDaFのウェブサイトでやる方法と同じなので、ここでは省略します。ただテストサンプルを見る限り、ペーパーテストと同じところ、違うところがあるので、以下にデジタル形式の特徴をちょっと紹介していきます。
時間配分はほぼ変わらず
ペーパーテストのTestDaFでは、読解60分、聴解40分、作文60分、会話35分となっています。
一方デジタル形式では読解約55分、聴解40分、作文60分、会話35分です。
約って何やと思うかもしれませんが、これも結局ペーパーと同じと見做していいと思います。
デジタルは後戻り不可
1度次の問題に進んでしまうと、デジタル形式では前の問題に戻って解きなおすことができません。特にペーパーではその余裕があった読解や、作文を同じ感覚で解かないようにしましょう。
各セクションの問題構成
両方読解、聴解、作文、会話と4つのセクションで成り立つテストですが、ちょっとずつその構成が違っています。
※問題構成は、TestDaFのホームページの例題を参考にしています。
読解
ペーパー | デジタル |
大問3つ – 短い記事ぐらいの文章が複数あり、その説明が一番はまる選択肢を選ぶ – 記事1 各問いに当てはまる選択肢を回答 – 記事2 正誤判断 | 小問7つ – 文章の穴埋め – 段落の並び替え – 長文読解 各設問の答えを選択 – 長文の中に設けられている区切りに、最も適した状況を選択 – 長文読解 その後の短文がどちらのグループに当てはまるのか選択 – 短文読解 その後の短文がマトリックス図表のどこに当てはまるか選択 – 短文記事とグラフ 間違い探し |
デジタルの方が問題文が多く、1問1問を早く判断して処理する必要があります。また、ダイアログ、個人の発言と小さい記事ぐらいの文章などを正しい順番に並び変える問題が複数あるので、必要な情報量が多くなるでしょう。
各問いに制限時間
さらに、小問ひとつづつに制限時間が設けられています。制限時間を過ぎると、回答の途中でも強制的に次の問題に行ってしまうため、ページに表示される残り時間は要チェックです。
聴解
ペーパー | デジタル |
大問3つ – ダイアログ 短文で回答 – インタビュー 正誤判断 – 講演 or インタビュー 短文で回答 | 小問7つ – 二人のダイアログの内容から表の穴埋め – 二人以上のダイアログの内容から、短文で発言者の内容を回答 – 講義 or 講演 要約正誤判断 – ダイアログ(ビデオ) その後の短文がどちらのグループに当てはまるのか選択 – ダイアログ(ビデオ) 内容を回答表の各箇所に短文で回答 – 講義 or 講演 各設問の答えを選択 – プレゼンテーション 要約間違い探し |
読解と同じく、問題数が多くなっています。ペーパーと同じで、問題文を読み、問題が読み上げられ、回答するという流れなので、設けられている制限時間をとりわけ意識することにはならないと思いますが、問題文からできるだけ情報を得ておいて、少しでも余裕をもって回答しましょう。
作文
ペーパー | デジタル |
大問1つ ある社会現象を取り上げた短い段落文と付録のグラフをもとに、グラフの成長度合いが示す事象の変化を文章で説明。 その後つけ足されている解説と設問の内容*を反映して一つの小論文を作る。 *解説の要約、自分の意見の表明、自分の国での状況を説明、この社会現象のいいところ、悪いところを取り上げるなど。 字数は原則無制限。ただし、用紙内の指定の範囲の内容のみ評価される。 | 大問2つ – ある社会現象を取り上げたディスカッションの中で、その現象のいいところ、悪いところ、及ぶその理由を文章化する。 制限時間30分、最低単語数200語 – ある社会現象を取り上げた記事と付録のグラフをもとに、その現象と過去から現在までの推移を要約。 制限時間30分、100 – 150語でまとめる |
デジタル形式で最も注目するべきなのは、制限時間と単語数制限がある点です。特に単語数制限に関しては、問題ごとに最低限書くべき量と、指定の単語量に収める2種類の制限があるので、間違えないようにしましょう。
後戻りができないので、1問目をどれだけ早く、きっちり書ききれるかがカギ。
会話
ペーパー | デジタル |
小問7つ – 電話連絡 – 自分の国の社会現象について説明 – グラフの読み取り、及び解説 – 社会現象に対して自分の意見の表明 – 友人の相談、提案に対して自分の意見の表明(複数) – 授業の内容について、グラフを参考に自分の意見の表明 | 小問7つ – グラフの読み取り、及び解説 – 社会現象に対してテキストを要約 – 友人の相談、提案に対して自分の意見の表明 – 授業の内容について、グラフを参考に自分の意見の表明 – 授業でのプレゼンテーション(構成の説明、各テーマの解説) – 授業のディスカッションでの同級生の発言に対して自分の立場を表明 – ルール変更に対する批評、改善策提案 |
今回僕の印象では、会話のパートがデジタル形式にて大きく変わっています。
情報を早くまとめよう
まずグラフや短文を参考に問題を解く場合、大体の場合回答中もその情報を確認できます。しかしテキストを要約する問題では、自分の回答のターンになるとテキストが消えてしまいます。なので、ペーパーテストとは準備時間が異なってきて、より早い情報処理能力が求められます。
大学で使うプレゼンのテクニック込み
さらに、プレゼンテーションのパートでは、すぐに本題に入るわけではなく、その構成から説明しないといけなくなります。少し先の話をすると、ドイツの大学ではプレゼン、どういう進め方をするかを、目次(Gliederung)を見せながら説明するパートが冒頭に必要になります。なので、実用的になったと言えますが、その分難易度も上がります。
どうやって対策する?
ドイツはじめ、世界各国では徐々に展開してきているデジタル形式のTestDaFですが、日本では2021年の11月が初になります。例題はTestDaFのホームぺージでも見ることができるので、ぜひ参考にしてください。
また、僕も教材を見ながら対策記事を書いてみました。よかったらこちらもどうぞ。
Amazonで買える対策教材
ちょっとAmazonで検索してみたところ、以下の教材がデジタル形式のTestDaF用として挙がりました。やっぱりちょっとお高めですが、万全を期すなら買って損はないはずです。
TOEFLとかに慣れてれば入りやすいかも
読んでいるうちに、恐らく同じくデジタル形式で行われる、TOEFL iBTとなんとなく似ていることに気づいた方もいらっしゃるかと思います。なので、過去にTOEFL iBTを受験してきた場合は、デジタル形式の方が受験しやすいかもしれません。
それ以前に、TestDaFがもともとどんなものかというのもこちらの記事にて紹介していますので、良かったら読んでください。
ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます!
別のブログも読んでいただけたらうれしいです。
んでは、また~。
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