ドイツの大学での単位取得システム

大学生活

大学を卒業するには、どこを選んでも授業を受けて課題に取り組んで、教授や講師から一定数以上の単位をもらわないといけません。日本もそうですが、ドイツの大学だとちょっとだけシステムが違います。今回は日本とドイツ、それぞれの大学で単位を取るときの相違点を比較しながら紹介していきます。

1セメスター=半年、授業期間はそれより短い

日本の大学と同じように、ドイツの大学も1年の中で2学期に分かれています。ドイツでは、地域差は多少ありますが、基本的には前期が9月~2月で冬セメスター(Wintersemester)、後期が3月~8月の夏セメスター(Sommersemester)と呼ばれます。この期間中に、クリスマス休み、春休み、イースター、夏休みがあるので、授業期間はそれぞれ4カ月ぐらいです。

単位の単位

ドイツの大学では、基本的にEU圏内の大学で有効なEuropean Credit Transfer System(ECTS)を採用しています。授業の一コマに合格すると、ECTS Creditという単位で卒業に必要な単位が取得できます。各大学、各授業で一コマ何単位分になるのかは変わります。

基本的に必修のみ

ドイツの大学にある学部で勉強する場合は、専攻の必修科目のみで卒業認定されます。まぁこれがだいぶしんどいんですけどね(汗)。日本みたいに一般教養的な授業がなくもないし、他専攻の学生にもオープンになってる授業を受けることも一応できます。もちろん合格したら単位はもらえますが、卒業要件はあくまでも必修の全履修です。

単位取得方法

これも日本の大学と同じで、単位を取得する方法は各授業の教授、講師の計画によってバラバラです。僕が4年間体験してきた中でまぁメジャーだったのは、

・ペーパーテスト

・レポート

・プレゼンテーション

以上3種類でした。あとは、語学の口頭試験がたまにあったぐらいです。

1種類じゃないことも

ここで、大概の人が上記の試験のうちどれかだと油断しがちなのですが、あまりにも自分が教えてる科目に情熱的な教授や講師は、ペーパーとプレゼン、レポートとプレゼンみたいに複数の課題を学生に与えて学生の理解度を測りたがります。

一度だけありましたが、デジタルマーケティングの授業で、12月に小テスト、1月末に期末テスト、学期終わりまでにレポートとかいう凶悪なコンボを繰り出す講師がいました。めっちゃいい感じのお兄さんだったのに、やることがえぐすぎてクラスでの評価がガタ落ちでした。

(出典: いらすとや)

【低確率】日本の単位は認められる?

ドイツの大学で勉強しようとしていることが、日本の大学と一部かぶっているかもしれないという方は、「もしかしたら」何コマか授業を免除される可能性があります。とはいえごくごく低確率なので、あんまり期待しすぎないのが身のためです。もしやと思ったら、入試課や学生課に、単位取得証明と日本の大学で受けた授業のシラバス(英語)を持って相談するのもアリです。

テスト期間中は授業が減る

学期中のカリキュラムが一通り終わったら、テスト期間が始まり、通常の授業のリズムよりも圧倒的に授業数が減ります。その期間中にある授業は、学期中に休講になった授業の埋め合わせだったり、そうでなくてもテスト対策とかに充てられたりと、そこまで必死こくような内容にはなりません。なので実質各セメスター4カ月も授業ないと思います。

結局卒業までに全部取れればいい

入学したてだと、そのセメスターで指定されている授業を取ることが必須になります。まぁ当たり前なんですけど。

ただ、ドイツの大学ってテストの結果を忠実に評価に反映するんです。だから結構初期で単位落とす人はいます。温情措置はまぁないです。

なのにいわゆる「留年」というシステムはありません。単位落としまくっても、途中で取得単位数に紐づけた進級条件がなければ、入学当初からの同級生と一緒に最後まで上がっていくことができなくはないのです。

最後のセメスターの授業にいた人が、「んじゃ1ゼメの授業行ってくるわ。」みたいなことを平気で言える自由な社会(実話)。

もちろん卒業するまでには指定の必修科目は全部取らなければいけません。じゃないと学部卒業認定に価値がなくなってしまいます。なので、勉強に費やすエネルギーは基本的にみんな一緒です。

同じ科目のテストは在籍中3回まで

強いて言うなら、これはドイツの大学の温情措置と言っていいかもしれません。必修は全履修、試験に一度落ちたら不合格と厳しい印象がありますが、3回までなら同じ科目の試験を受ける資格があります。だから、1回落ちてもまだチャンスがあると考える人は少なくありません。

(出典: いらすとや)

わざと受験時期をずらすことも可

もうどう頑張っても今合格する気がしない!となったら、むしろそのセメスターでの受験を諦めて、来年に残機を取っておくのも作戦です。貴重な1回をふいにしない最後の手段として頭の隅に置いといてください。

語学はスキップできる人がちらほら

何回かちょっとだけ紹介してきましたが、うちの学部は一つ外国語を必修で取らなければいけませんでした。

その候補というのがフランス語、スペイン語、ポルトガル語、インドネシア語…だったのですが、

さすがヨーロッパの大学なだけありますね(しれっ)。

で、特にドイツというかヨーロッパ圏内ではフランス語とスペイン語が高等教育課程の中での選択外国語になっていることが多いので、入学時点である程度習得している同級生が結構いました(驚愕)。うちの場合はCEFRでいうB1~B2ぐらいまでを履修することになっていたので、それ以上の語学力が証明されれば、とりあえずは免除=必修のひとコマカットされるという超お得な状況になるのです。

同級生の状況から分かる限りでそれを証明できるのは、

・選択した外国語が母語(えっ、ずるない?)

・選択した外国語圏に長年住んでいた(えっ、グレーじゃない?)

・CEFR認定、もしくはそれに相当することが証明された語学試験の合格証明書

・高等教育の過程までにCEFRに相当する基準を満たすことが証明された、語学授業の合格証明書

のいずれかでした。

いや無理ゲーか。日本語選択肢に入れろや(うちの大学には日本語学科がありました)。

他大学、大学院で取得単位を活用するとき

卒業後、または中退するまでに取得した単位が次の進路で必要となったとき、どういう点に気をつけるべきなのか。以下ふたつのパターンに分けて解説します。

他大学への編入時に重複単位を認可してもらえる

ドイツの大学生は、今勉強していることが自分に合わないと思ったら、割とあっさりやめてしまいます。その後の進路は就職だったり、職業訓練だったりするのですが、他の大学に編入することもあります。

編入の場合、今まで勉強したことが新しい大学でやることとかぶっていればある程度認可され、最初からやり直ししなくて済みます。ただ、全部認められることは少なく、一部自分が所属する学年より下の学年と一緒に受ける授業も発生しうることは覚えておいてください。

これは特に恥ずかしいことではないです。ご安心を。

大学院進学時には単位取得数に制限があることも

学部を卒業したら、大学院に行こうという方もいらっしゃるかと思われます。ただ、ドイツの大学は、学部によって勉強する期間がバラバラになっていて、それに伴い取得できるECTS単位数が変動します。例えばうちの学部は7セメスターで210ECTSだったのですが、別の学部は8セメスターで240ECTSということもありました。

で、大学院に出願しようとなったときに、これまでの成績、語学力などと一緒に、学部で取得した単位数や勉強内容が出願条件として設定されていることがあります。これに満たないと、出願先の大学の学部で不足分を補ってから、院に入るというのが割とメジャーです。それを判断するのは、出願する大学の入試課など、単位の審査をする管轄なので、こちらについてもまた事前に相談してみましょう。

計画的に取っていこう

ということで、ドイツの大学では自分が取るべき授業は決まっていますが、いつ取るのかは自分次第です。また、これまで勉強したことが、今から勉強することと同等であることが認められると、授業免除などの恩恵が受けられることもあるので、ダメもとかもしれませんが担当部署に掛け合ってみましょう。

ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます!

別のブログも読んでいただけたらうれしいです。

んでは、また~。

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